(以降のコンテンツすべて) 再履修線形代数研究会 代表 池辺八洲彦

 

 再履修線形代数―分解定理を主軸に整理整頓

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  製作 再履修線形代数研究会 代表 池辺八洲彦

池辺八洲彦 筑波大学名誉教授・会津大学名誉教授原稿)

ikebe@ibaraki.email.ne.jp http://www.ne.jp/asahi/ikebe/yasuhiko/

蔡東生   筑波大学 cai@is.tsukuba.ac.jp(実装、課題/解答)

浅井信吉  会津大学 nasai@u-aizu.ac.jp (同上)

宮崎佳典   静岡大学 yoshi@inf.shizuoka.ac.jp同上) 

田村淑子    東京理科大学 yoshiko@ms.kagu.tus.ac.jp(授業)

 

 このコンテンツはこういう特色をもっています

 

●「線形代数の何を、どんな形で頭の引き出しにしまっておけば、後々の応用に便利か」と

う立場から、数個の分解定理を主軸に重要事項の整理整頓を行う行列式内積は分解定理の脇役に位置づける。ノルム収束は、厳密にいうと、解析学に属する話題であるが、代数学と解析学(それに幾何学)は本来相補的関係にあるので、行列解析の基礎的事項を話題として取り上げた。ラーナーは「どういう事実がどの分解定理から出てくるのか」を中心に見ていって頂きたい。

 

●ラーナーの便宜を図って、レッスン3において、線形代数の概要、すなわち、分解定理と行列式、内積、ノルム、収束の概要を説明した。その理解に必要な行列算、ベクトル空間、線形変換からのごく基礎的な事項の復習(兼入門)はレッスン1-2で行う。レッスン3は線形代数全体の復習用としても活用いただけよう。 

 

●コンテンツ・タイトル中の「再履修」の意味は「忘れた内容を再履修する」または「復習を兼ねその上を行く事実をプラスする」という意味である。また、初めて履修する諸賢にも使えるよう、繰り返しをいとわない丁寧な説明を心がけた。「再履修」を謳ったのでレベルは大学教養レベルより高く、社会人のニーズに対応できるように努めた。

 

● 数値解法に関する記述は、このコンテンツの目的から、ごく簡単な参照程度にとどめた。

 

● 理解度を試すのに便利なように、「腕試し問題」を適宜設けた。

 

●このコンテンツは、科学研究費の一部助成による、1999.7から約2年続いた、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA) Center for Digital Innovation (Maha Ashour Abdalla, Director)との共同計画において製作された英語版Refresh Linear Algebrahttp://www.cdi.ucla.edu/linearalgebra/)を全面的に増補改定した日本語版である。担当メンバーも当時の日本側チームメンバーと一部共通する。

 

 こういうラーナーを想定しています 

 

@企業、大学、研究所において研究や応用開発現場を受け持ち、コマ切れの時間を使いつつ、線形代数の実用価値の高い基盤事項を再履修したいと希望する社会人の方々

 

A限られた時間の企業内セミナーなどで使う教材として、使いやすくコンパクトにまとめてある、基礎線形代数の教材を探している方々、(「特色」の項でのべたように、レッスン3の概要を参考にしてください)

 

B社会に出れば軟弱な知識では不十分と自覚し、在学中に教養課程線形代数以上の基盤事項をできるだけ整理整頓して自分のものにしておきたい、と希望する大学生や院生諸賢。

 

 かつての企業面接(参考)

 

(1) 役員面接官「大学生活の中でもっとも印象的だったことを語って下さい。」 学生「○

○の部活と○○のアルバイト体験です。部活では・・・」

アドバイス:部活とアルバイト体験をあげる学生は多いが、面接官はアカデミックな回答を期待している。それぞれの専門分野について語るのがよい。良い回答例:「線形代数の授業が一例です。高校でベクトルと行列を習ったのでもう十分と思っていましたが、授業では線形代数の奥の深さにショックを受けました」「具体的にいうとどんなことですか」「固有値問題に関するジョルダン分解が極端な例です。それを解凍すれば延々と続く証明の道筋までがわかる、と教授はいいました。また免震構造の研究は固有値問題と深い関係があるともいわれ、簡単な連成振動モデルが例として使われました。またLAPACKMATLABなど、行列計算パッケージの質の高さもすごい。大学で学ぶ学問は高校時代に考えていたよりはるかに奥が深いことがよくわかりました。つぎに卒研では・・・」

 

(2)技術面接官A「行列の固有値、固有ベクトルとは何ですか」 学生「それは・・・(出てこない)」 

アドバイス:これでは基礎知識の脆弱さが即刻バレバレとなる。一番簡単な定義を述べると、「を実または複素正方行列とすれば、その固有値とはが逆行列を持たないような複素数の値をいう。ここには単位行列を表す。次行列の固有値は特性方程式の根だから個ある。特定の固有値に対応する固有ベクトルとはの解のことをいい、適当な自然数にたいしての解を一般固有ベクトルという。固有ベクトルは一般固有ベクトルの一種である。」

 

(3)技術面接官B「虚数単位の平方根を暗算で出せますか」 学生「ウーン、困ったな」

アドバイス:これまた、できない人が多い。ポイントは複素乗算の幾何学的解釈の応用。の平方根、すなわち自乗するととなる複素数は、複素平面内における原点を中心とする単位円周上にあり、の偏角90度の半分の偏角をもつ点およびで与えられる。そこで、答は暗算で。自乗すると確かにとなることを確かめてください。